マルクス主義ガストロノミー
2019/8/13
「どれだけエロい店を知ってるか」がステータスになりすぎている。いい店やれる店なんて言っても最終目的地が公衆便所だったので解散。とんだ酢豆腐だ。
芸能人が「自分の1軍レストラン」たちを紹介してく番組を見た。ガラの悪い売文業社長なんかが出て、料亭や寿司屋を紹介しては やれ○○さんと語らった だの、あの大物政治家も常連 だのレジェンド級エピソードトークを繰り広げる。それを聞いて恵比寿あたりのコカイン窟に入り浸ってそうな妙齢女性がシャガレ声でゲストのファルスをナデナデしてやる。東京の悪いところを煮詰めた様な見世物。
やがて回を重ねてくると、ゲストも知恵がついてくるから、店のチョイスそっちのけでイメージアップの踏み台にし始める。嫌味にならないよう慎重に「結局は下積み時代よく食べた寮のカレーっすね〜」とか「カアチャンの料理が一番うまい」とかいう戦術に収斂してきますみんな。もうそうなると番組の趣旨と違うので改編を待つのみです。
ブリアサヴァランの名言は今も有効です。インスタに何の食い物をのせてるかでソイツがどの文化圏に属してるか位まではだいたい分かります。
で、インスタにとどまらず強迫観念がハードコア化するとだんだん一人称が「小生」寄りになり始めて、記号を飲み下してるだけの廃人へとモーフィングしていって、最終的に「アイツとメシ行くとメンドイ」の出来上がりとなるわけです。レビュワーのバイガイドに五感を預けず自らの好き嫌いをしっかり言語化しておく事は大事だと思います。これからは「偏愛」が資本になるらしいですから。
公共放送の番組でもグルメ番組(?)をよく見ました。ジェイミーのネイキッドシェフやレイチェルのおいしい旅レシピなど。アレを見てるとそれなりにウマそうなので、イギリス料理だってちゃんとうまいんじゃないかと。あの偉大なる大英帝国の飯がマズいワケ無いじゃん普通に。貴族がいてパーティがあるなら御馳走があるにきまっている。なのになぜメシがマズいなんてことになるのか。英国王室の味覚に原因がある(?) 王室の食の好みが人間離れしているから….
ここでレプティリアンの話をする気はないのでそれはまたの機会に改めてやります。ただ、百歩譲ってレプティリアンの虫食が英国味覚の源流だったとしても、彼らもバカじゃないんだから人間界にはちゃんとフィッティング・インしたはずでしょう。怪しまれますからね。ハンバーガーもチキンもちゃんと美味しいと言って食べたはずです。(今になってようやく一部の勢力が虫を食え!だのと騒いで与太で世界を惑わし始めましたがあれは爬虫類ルーツの人種です。)フランスやイタリアにあってイギリスになぜ味覚が無い。無いわけ無いと思うんだけど。
で、最近、興味深いエッセイの存在を知りました。「産業革命がイギリスのメシをまずくした」と持論を展開する人がいるらしく。おぉ。大きく出たな。話半分で聞いておこうと思いましたが、そういうこじつけは嫌いじゃないです。
要はこういう事らしい↓
元来、食の豊かさは農地・田畑にあった。誰でも入っていい野山があって季節ごとに旬の味覚を楽しむ牧歌的な風景が広がっていた。ところがそこへ産業革命がやってきて、人々は農地や田畑から引き剥がされ工場にブチこまれてしまった。産業革命に必要なのは労働力だから、工業化は農地改革とセットで起こる。ある者は小作農になり、またある者は土地を離れ都市部で労働者に。そうして村の祭りも無くなりご馳走と踊りは奪われ、食のスキル伝承は途絶えた。食のスキル伝承が途絶えて料理人のレベルは落ちた。
だが、じゃあなぜそこで貴族は「こんなマズいもん食えるか!」と怒らないのか。料理人のスキル低下をどうにかしようとは思わなかったのか。
そこはお得意・お家芸の帝国仕草で美味いものはよそから取り寄せて食っていた。
から、だそうだ。
コロニアルですね。本当かどうかはわかりませんが考察としては興味深いと思います。
私は幼少期から産経抄で育ったスピリチュアル系オルタナライトで学生時代に縁石剥がして投げたりはしなかったタイプなので詳しくないのですが、こういったマルクス主義を基調としたガストロノミーが「資本主義によって失われた味覚」のことを語ろうとするんだとしたら、フロイト主義ガストロノミーもあるのかと夢分析に余念がない私は思ったのでした。なんでしょうか。「男性社会がキッチンワークを主婦に押し付けたことによって喪失した栄養と味付けを取り戻そうとする強迫。それに起因する病理」とかになるんでしょうか。「ファリックな料理」って何でしょうか。脱サラ手打ちそば?日曜スパイスカレー?燻製?それもちょっと情報を食ってる系の人種と被る部分がありそうです。
ところでTinderなどのプロフィールに「美味しいものを食べるのが好きです」とプロフィールに書くやつがたまにいますね。同語反復っぽい感じがします。美味しい物食べるのが嫌いな人っているんですかね。(CV:古市憲寿)